足立区の未来
向けたアクション

小さな一歩の積み重ねで、
足立区の未来がつくられています。

2024.05.02
レポート

日々の違和感を大切に自分の枠を越え、足元から転がすように新しい世界を構築していきたい

今井健登さん[アヤセ未来会議第二期メンバー]

小台にあるコーヒー店「ブリュッケ」店主の杉浦俊介さん

「Japan Mobility Show2023」出展ブース(今井さん撮影)

取材協力:コーヒー店「ブリュッケ」(小台)

外資系メーカー勤務の今井さん。コロナ禍のリモートワークで生まれた余暇を地域の再発見や本職にも役立つリサーチに充て、地域のボランティアや、「アヤセ未来会議」に参加。足立区に暮らし12年、日々の違和感を見逃さず「足元からの移動・そして転換へ」をテーマに、まちとの関わりを深められている理由を伺いました。

PROFILE

今井健登さん [アヤセ未来会議第2期メンバー]

外資系メーカーに勤める傍ら、SNSで知り合った青年のスタートアップ企業・株式会社BLAIL(ブレイル)の事業パートナーに。コロナ禍をきっかけにリモートワークで空いた時間を活用し、「アヤセ未来会議」など区のイベントやボランティア活動へも参加。この体験を小台・宮城地区にも生かし広めたいと、地域での新たな企画やイベントを考案されています。

株式会社BLAIL(ブレイル)
https://blail.co.jp/

取材協力:コーヒー店「ブリュッケ」
BRÜCKE coffee (odaibrucke.org)

今井 健登さん
小台に暮らし12年、アヤセ未来会議第2期生
杉浦 俊介さん
小台にあるコーヒー店「ブリュッケ」店主

今井健登さん [アヤセ未来会議第2期メンバー]

「Festina lente(フェスティナ・レンテ)」=ゆっくり、急げの精神で足元からの転換へ
タイパ・コスパだけでは測れない活動や体験の豊かさが人を動かし変えていく

12年前、単身赴任を解消するため家族と新居を探していた今井さんが小台エリアで偶然見つけた「Festina lente(フェスティナ・レンテ)」と刻まれた石碑。意味は「ゆっくり、急げ」というラテン語で、学生時代に学んだ記憶が蘇り、当時のご自身の気持ちにしっくりきたと振り返ります。

「立地や物件の良さもありましたが、思い返せば印象に深く残っていたこの言葉との再会が小台エリアを居住地に選んだ理由のひとつにあったのかもしれません。(今井さん)」

足立区に暮らし始めて10数年を過ぎるころ、今まで疎遠だった地域活動に力を入れ始め、町内会との関わりを持ち始めた今井さん。そもそものきっかけは何だったのでしょうか?

「はじまりは、2022年末の山登りです。毎年登る山へ中学生の長男を誘ったら、自分を置いてぐんぐん先へ行ってしまって。子の成長を目の当たりにして喜ばしい想いと、自分の体力後退を実感しました。この経験を機に、自分が成長するには何が足りないかを考え、身近なことから実行することにしたんです。(今井さん)」

健康維持のため1日1キロの水泳を習慣化した今井さんでしたが、わずか数か月でドクターストップがかかります。なんと若いころ鍛えた体が、大人になり負荷に耐えきられず影響するケースがあるんだそうです。

「無理が効かない体と折り合いをつけるため、朝の体力づくりをウォーキングに変更しました。健康を維持し、自分が気持ちよく生きるにはどうしたらいいか、幸せとは何かを改めて考える機会になりました。(今井さん)」

知的好奇心が旺盛な今井さんは、「まずは足元からの転換を目指したい」、と図書館で見つけた地域のワークショップやイベント、ボランティアへの参加で、生活圏内の現状を知る活動をスタートします。2023年は(※1)NPO法人NICA(ナイカ)が開いたワークショップに参加し、視覚に障がいがあるロービジョンの方と一緒にまちの点字ブロックを歩いた経験を「アヤセ未来会議」で伝えてくれました。

2023年12月に参加した(※2)「IDS(インクルーシブデザインソリューションズ)体験会」では、身体に障がいのある方の動きを観察するワークショップに参加。「未来の不便」を体現するリードユーザーとともに歩き、一般ユーザーが共感する普遍的なニーズを発見し、新規事業を創造する手法が「誰もが楽しめる社会づくり」に有効であることを学ばれたそうです。「何気ない日常生活のなかにある制約から気付きを得る大切さを実感しました。(今井さん)」

お仕事柄、本業でも関りがある(※3)「Japan Mobility Show」では、SNSで知り合った若者のスタートアップ企業(※4)「株式会社BLAIL」をサポート。プロジェクトスタッフとして支援し、ブース出展の提案を叶え、情報収集とアウトプットを楽しむ「箱庭ワークショップ」や、目の見えない人に音声案内で景色を伝える「コード化点字ブロック」、アヤセ未来会議で生まれた「ちぎり絵アート」のコーナーを企画・実現しました。

日々精力的に活動を続けられるうえで、日常での違和感を大切にしていると語る今井さん。違和感とはどういうことなのでしょうか?

「僕たちが毎日暮らしているまちにも、困難や不便を抱えている人がいる現実を知ること、気がつくことがスタートでした。自身の固定観念を可視化し、いったんリセットすること。問題の本質を見抜くためにもまずは確かめること、やってみること。違和感を見逃さずよく観察することで、一見無駄に見えるような動きの中に、人間のQOL(Quality of life)向上のための発見やイノベーションの種が隠れていることに気付いたんです。(今井さん)」

「アヤセ未来会議」ではぐるぐる博のイベントにも参加。住民の声を直接聞き、「あだち環境ゼミナール」では住民主導の気候変動対策のワークショップを重ね、実際にあだち気候変動アクション区民会議を開催すべく準備を進められている今井さん。今後は小台・宮城エリアの活性化を目指し、子どもが大人と交流できるコミュニティ形成や、ガラケーユーザーが多い老年世代への情報伝達を促進するための「スマホ体験会」も企画中です。

地域の枠を越えたひとつひとつの出会いを大切にフットワーク軽くインプットとアウトプットを繰り返し、アイデアでコミュニティの幅を広げ、小台・宮城エリアの活性化への道のりを日々楽しまれています。


(※1)特定非営利活動法人 日本インクルーシブ・クリエーターズ協会NPO法人NICA(ナイカ)
https://www.nica-japan.jp

(※2)IDS体験会(株式会社インクルーシブデザインソリューションズ)
https://inclusivedesign.jp/

(※3)Japan Mobility Show 2023
https://www.japan-mobility-show.com/

関連するSDGsゴール

目標1
目標4
目標13

Words for the Next!

未来の足立を見据える今井さんと杉浦さんの語録

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ライター

足立区の好きなところを教えてください。

今井さん

成長余力があるところ、開発の余地があるところ。また、「ちぎり絵」のワークショップ経験からも芸術が地域に革新をもたらす可能性を感じました。足立区のマイナスな認知を変え、イメージアップできると考えます。

杉浦さん

盆踊りが好きで、町内会の(※4)小台盆踊り倶楽部に参加しています。月に一回活動していますが楽しいですよ。

ライター

足立区小台で「やってみたい」NEXTアクションを教えてください。

今井さん

杉浦さんは地域の役に立ちたいと区議選にも出た経験がある面白い方。この地で生まれ育った地縁がある方と、外から移住してきた人をつなげられるような企画を一緒に実践していきたいですね。

杉浦さん

地元の高校や町内会に声をかけ、子どもが大人と交流する地域の場をつくることならできるかもしれない、そんな可能性が見えてきた気がします。町民会館や区の施設を利用できることや、いろんな制度があることを知らない住人の方へサポートして、有効に活用してもらえたらいいですね。

今井さん

地域住民の方と、杉浦さんのコーヒー店「ブリュッケ」のユーザーがまちを知り、紹介するような企画もいいですね。リソース配分をコミュニティ内部でマッチングできるよう仕組みを検討していきたい。いざというときに他者貢献できるそれぞれのスキルや経験を開示きるような信頼関係を築いていくことがスタートなんだと思います。足立区長から「アヤセ未来会議」で声をかけていただいた「宮城地区にも大きな花火を打ち上げて」の声を実現したいですね。

(※4)小台盆踊り倶楽部
小台町会ホームページ (odai-info.vercel.app)