足立区の未来
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足立区の未来がつくられています。

2024.01.24
レポート

足立区の伝統工芸品「篠笛」の魅力をキッチンカーで伝えたい

創業100年の歴史がある大塚竹管楽器

F+BASEのキッチンカーと大塚さんご夫妻(「アヤセぐるぐる博」にて)

江戸時代から続く篠笛。ドレミの音階で弾ける笛も好評

笛の内側にも漆を塗る技術は企業秘密

「篠笛」が完成するまでには60~80もの工程が必要

足立区で作られている日本の伝統工芸楽器「篠笛」をひとりでも多くの方に知ってほしい――街の活性化を応援できればとキッチンカー「F+BASE」で地域を巡り、「篠笛」の魅力を伝え続ける大塚さんご夫妻にその想いを伺いました。

PROFILE

有限会社 大塚竹管楽器

江戸末期より受け継がれる篠笛「獅子田流」の四代目・大塚敦さんと笛師の美智子さん。篠笛の素材・篠竹を、地主さんの許可を得て山に登り、竹の選定から刈り取り、仕上げまで一貫して制作。日本の祭りや歌舞伎、神楽など日本伝統芸能で奏でられる笛はもちろん、ドレミ音階で初心者にも奏でやすい笛も好評。伝統を継承しつつも、和楽器バンドやアニメソング、ポップスなど幅広く対応できる鳴りやすく、音色の美しい笛を追求し続けています。

有限会社 大塚竹管楽器
https://www.fueya.com/

大塚 敦さん 
足立区出身、在住。獅子田流四代目笛師。代表取締役。
大塚 美智子さん
足立区出身、在住。獅子田流 笛師。常務取締役。

有限会社 大塚竹管楽器

「篠笛」の宣伝キッチンカーで地域の活性化を応援したい

お祭りに欠かせないお囃子の笛。篠竹という竹で作られ「篠笛」と呼ばれています。この篠笛が足立区発の伝統工芸品であることを知ってほしい、そんな想いを抱いていた大塚さんご夫妻。「篠笛」を聴いてもらうためにはどうしたらいいのか?そのヒントは10年ほど前に参加した展示会のお昼休みにありました。ランチを求めキッチンカー前にできた大行列。この並ぶ人々の隣で篠笛を演奏すれば、知ってもらえるチャンスになる!と、キッチンカーで篠笛の宣伝を兼ね地域を巡る構想が生まれました。

「アイデアはかなり前からありました。3年前、コロナ禍で祭りが中止になり、時間がたっぷりできたんです。」
もともとクルマ好きだった敦さん。キッチンカーの展示会へ行ったり、管理衛生責任者の資格を取得したり。腐らず前向きにチャレンジしたことで、新しいこと、いろんな人と出会えたことが何より貴重な経験になったと語ってくださいました。

「当初は移動せず、店前だけで始めたキッチンカー販売でした。隣へ珈琲豆を買いに来たマルシェを運営されている方が、うちのキッチンカーを見つけてくださって、いろんなマルシェにお誘いいただいて。地域の方とのご縁やご協力に感謝しています。(美智子さん)」

「蓋はいりません」「袋はいりません」とお客様から言われるたびに、マルシェに来る人々の間で環境を守る意識が高まっていることを実感されている美智子さん。キッチンカーを訪れるお客様から学び、刺激になることも多いそうです。マルシェで出会った“にぎりむすび”さん(※1)のスポンサーになり、ギフト弁当を必要とする子どもたちへ届けることも地域への恩返しのひとつ。

一方、敦さんは初代が作った江戸時代から続く楽器を継承していきたい、強い気持ちをお持ちです。
「初代の笛を修理することもあり、修理後また数十年と使い続けられるような楽器作りを目指しています。SDGsのモノを大切にする視点は大塚竹管楽器の原点。江戸時代から100年続いた歴史も、ある意味SDGsですよね。(敦さん)」

伝統を大切にしながら、区内の大学へ通う学生さんの若い世代の意見を取り入れたりと、新しい笛の開発にも取り組まれている大塚さんご夫妻。伝統に新しい視点を取り入れ、地域への貢献活動を発展させながら持続可能な文化継承への道を切り開かれています。

(※1)にぎりむすび……足立区内にあるお弁当ショップ。スポンサーを募り地域の子どもたちへ「にぎりむすび」ギフトを届ける食事支援を継続中。
https://nigirimusubi.com/
 

関連するSDGsゴール

目標4
目標12
目標17

Words for the Next!

未来の足立を見据える「有限会社大塚竹管楽器」大塚さん夫妻の語録

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ライター

足立区の魅力を教えてください。

敦さん

足立ブランド「FC ADACHI」(※2)の仲間もそうですが、熱い人がたくさんいます。信念、向上心、繋がり。足立区は一丸となっている気がします。「足立区」というよりも、「足立国」というイメージ。さまざまな分野で活躍しTOKYOといえばADACHIと世界で言われる日が遠くないかもしれません。同級生は足立区が好きで残っている人も多いんですよ。

(※2)あだちブランドFC ADACHI……足立区が認定する区内の優れた製品・技術を持つ区内産業主たちの業種を越えた集合体で、地場産業からブランド事業を通じて足立区を盛り上げるチームのこと。
https://www.city.adachi.tokyo.jp/s-shinko/shigoto/shogyo/brand-toha.html
 

美智子さん

街並みは昔の良さもありつつ、新しく変化していくところが魅力です。

ライター

足立区にどんな可能性を感じていますか?

敦さん

大学が増えて活気がでてきたね、と周囲の仲間と街の変化を感じています。やはり若い世代に注目される足立区になって欲しいですし、注目されていく街になると信じています。

ライター

これからチャレンジしてみたいことはありますか?

敦さん

獅子田を受け継ぎ100年の歴史を大切にしつつ、新しいことにもチャレンジをしていきたいです。昨年「篠笛宣伝キッチンカー」を作り、おかげさまで学校イベントや、地域のマルシェ、区のイベントにも呼んでいただけるようになりました。宣伝だけではなく、たくさんの方との繋がり、地域が元気になれるよう、盛り上げ隊として参加していきたいですね。

美智子さん

今進めているのは「篠笛教室」です。

敦さん

楽器を演奏する体験は、指先から全身まで使うので脳が鍛えられ、達成感や自己肯定感を高める効果(※3)があるらしいんです。

(※3)参考:東京大学 総合文化研究科 教養学部 「楽器演奏の習得の脳科学的効用」より

美智子さん

集中力を高め、セロトニンというリラックス効果が出る幸せホルモンも分泌されるという研究(※4)もあるそうです。来春には篠笛教室をオープン予定でおりますが、防音設備を備え、ミニコンサートやカフェ、ワークショップなども開催できるよう目指します。キッチンカーと共にマルシェなどで生徒さんたちによる篠笛コンサートもできたら嬉しいです。

(※4)参考:アメリカ バーモント大学医学部 ジェームズ ハジアック医学博士の研究より