向けたアクション
小さな一歩の積み重ねで、
足立区の未来がつくられています。
失敗も成功も、自由にのびのび学んでほしいから。いつでも頼れる街の「先生」
足立区の子どもたちが学ぶ場所は、学校だけではありません。学校の外にも、実はたくさんの「先生」がいます。その一人である和田さんは、公園での子どもたちの活動を見守ったり、実験工作教室を開催したりと、精力的に活動中。和田さんが子どもたちと接する上で大切にしていることについて、お話を伺いました。
PROFILE
和田由紀子さん(わんだーラボラトリー)
もともと小学校教員として勤務し、子どもたちに理科を教えていた和田さん。産休と育休を経て、現在は足立区の学校支援員として勤務する傍ら、子どもたちの自由な遊びと挑戦を応援する取り組みに幅広く携わっています。
- 和田 由紀子さん
- 足立区に住んで18年。元小学校教諭
和田由紀子さん(わんだーラボラトリー)
「『できた!』の笑顔がまぶしくて、その一瞬が宝物です」
そう語るのは、足立区で子どもたちの成長支援に取り組む、和田由紀子さんです。ご自身が子育てをする中で、木登りや砂場の禁止など「危険から子どもを守るため」の制限が、むしろ子どもたちの成長機会を奪うのではないかと懸念した和田さん。地域の中で子どもたちが安全に、かつ自由にチャレンジできる場所を作ろうと考え、活動を始めました。
その一つが、公園で子どもたちを見守る「パークエンジェル」です。毎週水曜日の午後、しょうぶ沼公園で縄跳びやボールなどを用意し、子どもたちが制限なく自由に遊べるよう一人ひとりに目を配ります。大人の目があることによって、親御さんも安心して子どもたちを公園に送り出せるそう。2007年頃から携わり始めて早16年、コロナ禍を挟んだ現在も活動を継続しています。
さらに、元・理科教員のキャリアを活かして2年前から始めたのが、街の実験工作教室「わんだーラボラトリー」です。においや手触りなど五感での体験を大切にしながら、スライムづくりやくだもの電池づくり、イカの解剖など幅広いテーマに挑戦します。教室を通じて育まれるのは、自分で考える力です。水をこぼしてしまった子に対して「だめでしょ」と叱るのではなく「どうすればいいかな?」と問いかけることで、子どもたちは「拭けばいい」の答えに自らたどり着きます。
こうしたやり取りの中で、徐々に自主性が育まれていくそう。通い始めたばかりの頃はきっちりと手順通りに作業していた子も、だんだんと自分で考える楽しさに気が付き、「これ、やってみていい?」と独自の手法にチャレンジするのだと言います。
和田さんはこのほかに中高生へのキャリア教育等にも取り組んでおり、幅広い年代をサポートしています。子どもたちの力を信じ、見守りを通じて伸ばしていく、いつも頼れる街の先生です。
関連するSDGsゴール
Words for the Next!
ライター
和田さんはこれまで精力的に活動されていらっしゃいますが、今後はどういったことをしていきたいと考えていますか?
和田さん
今注目しているのは、子どもの発達支援です。先日、発達に関する相談会を開催したところ非常に多くの親御さんがご参加くださいました。「なかなか思うようにできない……」と悩むお子さんやその保護者に寄り添い、「できた!」の輝く笑顔を引き出したいと思っています。自身でもさらに専門的な知識を深めるため、日々勉強している最中です。
ライター
ご自身も、常に挑戦をされているのですね。和田さんの活動はSDGsの4番目のゴール「質の高い教育をみんなに」に直結していますが、これまでも意識して活動されていたのですか?
和田さん
実は、全く意識していませんでした。自分が子どもたちの笑顔と成長のために、「したい」と思ったことを行動に移していたら、知らず知らずのうちにつながっていた……という具合です。ただ、足立区の貧困率の高さには課題意識を持っています。家庭環境に左右されることなく、全ての子どもが「生きるって楽しい!」と思えるための教育が必要です。パークエンジェルもわんだーラボラトリーも、その想いが根底にあります。
ライター
今までの取材でも、「特に意識はしていなかったが、結果的につながっていた」とおっしゃる方が多くいらっしゃいました。
和田さん
そうですよね。ママ友の中にも、NPO法人を立ち上げて活動されている方が複数いらっしゃいますし、足立区には「目の前の課題に対して、何か自分で行動してみよう」という意欲ある方が多いと感じます。ただ、広くて大きい区である分、お互いの活動を知ったりコラボしたりするハードルがやや高いのも事実。こうした記事を通じて、他の方の取り組みを知ることができるのはとても嬉しいですね。