向けたアクション
小さな一歩の積み重ねで、
足立区の未来がつくられています。
日本の伝統文化を活かして、みんなに優しい循環を。足立区・東和の小川畳店
足立区で50年以上続く、小川畳店。洋室にも合う畳やペット用の畳など、バラエティー豊かなスタイルを提案しています。インタビューに応じてくれたのは、2代目代表の小川 崇さん。畳が「人と地球に優しい」理由について、そして小川さんが目指す街づくりについてお話を伺いました。
PROFILE
小川畳店
1970年に足立区で創業。肌に直接触れるものだからこそ、安心・安全の品質を追求し、原材料にとことんこだわります。熊本県の無農薬栽培の農家から直送で仕入れたイグサだけを使い、赤ちゃんがなめても安全な畳をつくっています。
- 小川 崇さん
- 足立区生まれ、足立区育ち。街の大人たちに見守られて育った。
小川畳店
「多様な畳スタイルの提案を通じて、人々の快適な暮らしを支えたい」
皆さんは、畳を使うメリットや効果についてご存じでしょうか。現代では洋室の増加に伴って減少傾向にある畳ですが、多くの人から長く愛されてきた歴史にはしっかりと理由があります。湿気を吸う効果や抗菌効果、足音や話し声などの音を吸収する効果、さらにイグサの香りのリラックス効果などが期待できるのです。
小川畳店では、これらの効果を生活に取り入れてもらうべく、様々なスタイルの畳を提案しています。ペットの爪にも耐えられる丈夫な素材で作った畳や、フローリングの部屋にも合う畳など、その発想力に脱帽です。
区内産業の優れた製品や技術をピックアップした「足立ブランド」の認定企業でもある、小川畳店。足立区全体を盛り上げるべく、他業種との横の連携にも積極的に取り組んでいます。銭湯で行うイベント「香り湯プロジェクト」では、かぼす湯やリンゴ湯に並び、イグサ湯を提供。畳仕事で出た端材を活用しています。さらに「足立ブランド」の一員として、子どもから大人まで皆が楽しめる、ミニ畳を作るワークショップを開催しています。
「畳は製造過程で捨てるものが出にくく、再利用できるものが多いため、環境に優しいんです」と教えてくれた小川さん。実際に、畳の芯の部分はイネを収穫したあとの藁を重ねてできており、土の中に混ぜると自然へ還るのだそう。畳を補修する際にも、イグサや藁が用いられています。また、畳表面のゴザの部分はレジャーシートとして再利用できるほか、ヘリの部分も収穫した農作物の運搬などに再利用されています。
さらに畳は、家の中における循環も実現します。土台はそのままに、表面を張り替えると新品同様に復活し、何世代も使える 「持続可能」なアイテムです。
実は畳以外にも、包丁研ぎや障子の張り替えなどを幅広く手掛ける小川畳店。小川さんは「気軽に頼ってもらえる“街のおやじ”を目指している」と語ります。取材中も、散歩中のおばあちゃんに「行ってらっしゃい」と声をかけ、交流を欠かしません。一人ひとりに目を配り、温かく街を見守る、頼れる街の大黒柱です。
関連するSDGsゴール
Words for the Next!
未来の足立を見据える「小川畳店」小川さんの語録
ライター
足立区と連携した取り組みがあれば、教えてください。
小川さん
自治体との取り組みの一つに、被災地の避難所に畳を届ける「5日で5000枚の約束。」というプロジェクトがあります。このプロジェクトは、全国の畳店がそれぞれの自治体と防災協定を結び、災害時に連携して避難所に畳を整備するネットワークを整えるもの。私たちも、2015年にいち早く足立区と協定を結びました。
ライター
ありがとうございます。全国規模の大きな取り組みなのですね。このほかに小川畳店では、畳に限らず包丁研ぎなどを幅広く手掛けていると伺いました。
小川さん
はい。「ちょっと困ったな、でも誰に相談しよう?」っていうときに、気軽に相談に来てもらえる場所になりたいんです。僕が子どもだったころは、街全体を見守る“街のおやじ”のような人がいましたが、今はそういう人ってなかなか少ないじゃないですか。
ライター
たしかにそうですね。
小川さん
僕自身が街の大人たちに怒られたり見守られたりしながら育ったので……。自分やお店そのものが、幅広い世代から気軽に頼ってほしいなと。そう思って、なんでも幅広く手掛けているんです。実際、おばあちゃんが家の電気が切れたことを相談しにきてくれたり、学校帰りの子どもたちが立ち寄ってくれるお店になっています。
ライター
とても素敵な場所になっているのですね。最後に、今後の活動の展望を教えてください。
小川さん
最近は足立区に引っ越してくるファミリー層も増えていますから、その人たちを巻き込みながら、皆で楽しく持続可能な街づくりをしていきたいです。もともと足立区に住んでいる人たちと、新たに引っ越してくる人とをつなぐパイプ役を担えればと思っています。