足立区の未来
向けたアクション

小さな一歩の積み重ねで、
足立区の未来がつくられています。

2023.05.31
レポート

誰ひとり取り残さず、自分らしく働ける街を目指して。NPO法人WEL’S

(画面右から)代表の橋本さんと、職員の森山さん。コミュニティプラットフォームあだち(CPA)の前にて

11年前から足立区に事業所を構える、NPO法人WEL’S。障がいがある人に向けた、就労支援事業を展開しています。さらに地域の方とのつながりを重視し、2022年には舎人に「コミュニティプラットフォームあだち」(CPA)を開設。リアルとオンラインをかけ合わせた、新たな街の交流拠点となっています。SDGsの観点と絡めながら、代表の橋本一豊さんにお話を伺いました。

PROFILE

NPO法人WEL’S

「その人らしく働くことのできる社会づくり」をビジョンに掲げ、障がい者の就労支援事業を展開するNPO法人です。丁寧なカウンセリングを通じて、一人ひとりに合った仕事環境や働き方を提案。就労が決まった後も、一貫して支援を行っています。

橋本 一豊さん
NPO法人WEL’S代表。10年ほど前から足立区に在住

NPO法人WEL’S

皆が笑顔で、自分らしく働ける社会をつくりたい

NPO法人WEL’Sは、代表・橋本さんのその想いから始まりました。28回の転職の末、「人の役に立ちたい」という想いから福祉の仕事に従事した橋本さん。社会福祉の先進国として知られるスウェーデンを訪れた時、障がい者の自立のための「就労」の重要性を強く感じたと言います。そして帰国後に、NPO法人WEL’Sを設立しました。

橋本さんが考える「自立」は、人と環境との相互作用によって実現されるもの。例えば、ずっと独り言を言う人が横にいると、気が散ってしまう人もいれば、むしろ集中できる人もいます。すなわち、その人が能力を発揮できるかどうかは周囲との相性にもよるのです。

その点、足立区には一人ひとりの自立を温かく応援してくれる環境があるそう。「多少の失敗があっても『お互い様だよ』と笑顔で励ましてくれたり、積極的にトレーニングの機会を提供してくれたりと、常に足立区の人の温かみに支えらえれてきました」と橋本さんは振り返ります。

2年前、WEL’Sは「コミュニティプラットフォームあだち」(以下「CPA」)を新たに立ち上げました。障がい者の根本的な自立を叶えるのは、1団体の力だけでは難しいもの。日々の声かけや手助けなど、地域社会全体の理解とサポートが不可欠です。「足立区の人々をつなぐことによって、障がい者の自立を本質的に支えていきたい」――。そのための交流拠点として、CPAは開設されました。

最大の特色は、リアルとオンラインをかけ合わせたコミュニケーションにあります。YouTubeなどのSNSを積極的に活用し、多職種勉強会や料理講座といったコンテンツを配信。希望に応じて対面での開催も織り交ぜつつ、高齢者世代にも配慮しながらゆるやかにDXを推進し、すべての世代を取り残さない「持続可能なつながり」を生み出しています。

WEL’S が目指すのは、「足立区で働くのって、楽しいよね」と言われる未来。今後も、CPAでの活動を軸に街全体を巻き込みながら、障がい者の自立をチームとしてサポートしていきます。

関連するSDGsゴール

目標3
目標8
目標10

Words for the Next!

未来の足立を見据えるWEL’S 橋本さんの語録

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ライター

CPAについて、オンラインとリアルをかけ合わせた交流拠点という発想が非常に新鮮です。

橋本さん

ありがとうございます。コロナ禍を機に、日々のコミュニケーションや働き方が非常に多様になった中で、CPAはそれらを実践する場だと考えています。

ライター

たしかに、働き方の幅も一気に広がりました。橋本さんが考える「仕事」とは、どのようなものでしょうか?

橋本さん

私自身が考える「仕事をする」とは、「課題を自ら発見して、その解決に取り組むこと」です。ゴミを見つけて拾う、困っている人がいたら声をかける、というのも十分に仕事だと思っています。賃金をもらう仕事とは少しずれるかもしれないですが、社会とつながっていくための「仕事」はもっと幅広いのではないでしょうか。

ライター

なるほど。たしかにその通りですね。仕事は、全員の日常の中にあるものかもしれません。

橋本さん

はい。そういった意味で、足立区には「仕事ができる」人が多いと感じます。実は私は個人としてアヤセ未来会議に参加しており、地域の方との交流機会が多くあるのですが、参加者の方々は皆いち早く課題を見つけて解決に取り組んでいます。困難な課題に自ら立ち向かう、「筋肉質」な人が多い印象ですね。

ライター

ありがとうございます。最後に、今後の展望を教えてください。

橋本さん

足立区の中には、価値があるのにまだ埋もれている「仕事」が多いと感じています。区民の皆さんは一人ひとり、すばらしい課題解決に取り組んでいますから、その点と点が線になり、つながっていくことで本領が発揮されるはずです。そのためのつながりの拠点としてCPAが活かされれば、こんなに嬉しいことはありません。