足立区の未来
向けたアクション

小さな一歩の積み重ねで、
足立区の未来がつくられています。

2024.02.07
レポート

高架下No Border LAB「あやセンターぐるぐる」は住民が「やってみたい」を「やってみる」難しく考えずにまず相談して試してみる場

左から 伊東課長、小宮さん、久保薗さん

銭湯の番台をイメージした受付カウンター「base」

講演会やイベントができるスペース「park」

アイデアが生まれる図書館&相談できるbarを併設した「oasis」

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自治体SDGsモデル事業である「高架下No Border LAB」プロジェクトの一環で、綾瀬駅西口の高架下をリニューアル。長年シャッター街だったこの場所に誕生した「あやセンターぐるぐる」は、住民の「やってみたい」をサポートし応援する施設です。このプロジェクトを担当した足立区職員のお二人伊東課長、小宮さんと、はじまり商店街のコミュニティビルダーとして「やってみたい」を叶える相談役を務める久保薗さんに、区の初挑戦となる施設「あやセンターぐるぐる」が完成するまでの道のりを伺いました。

PROFILE

あやセンターぐるぐる

20年以上空き店舗が続くシャッター街だった綾瀬駅西口の高架下。この高架下をリニューアルし、ヒト・モノ・コトが循環するコミュニティハブ「あやセンターぐるぐる」をオープン。住民の皆さんの「やってみたい」をサポートし応援する施設に生まれ変わりました。

あやセンターぐるぐる
https://ayacenter-guruguru.com/

伊東さん 
足立区役所SDGs未来都市推進担当課 課長
小宮さん
足立区役所SDGs未来都市推進担当課 係長
久保薗さん
足立区在住半年 はじまり商店街のコミュニティビルダー

あやセンターぐるぐる

たった二人から始まった「SDGs未来都市」への挑戦

もともと人材育成に興味があり、適材適所の見極めが得意な伊東課長。そんな課長の元へ配属された人材が、いい意味で“役所の人っぽくない”仕事ぶりが評判の小宮さんだったそうです。個性豊かでプロジェクトの企画運営が得意な小宮さんとなら、区の課題をともに解決できそうだ、と内閣府が公募するSDGs未来都市に挑むことを決意しました。

「この人材(小宮さん)がいなかったら、まずこんな無茶なチャレンジには挑まなかったかもしれません。こういうプロジェクトに向いている人間がいたからこそ、SDGs未来都市の認定獲得に向けここまでいくつもの壁を乗り越えられたんだと思います。(伊東さん)」

「思っていたより提案書の作成時間が短く、寝ても覚めても提案書のことが浮かぶ日々でした。想いがうまく伝わらず、悔しい日もありましたが、不思議とやめたいとは思いませんでした。一生に一度、関わることがきるかどうか。こんなすてきなまちづくりの企画に参加できることにワクワクしていたんです。悔しさはエネルギーに変えられるタイプなんで。(小宮さん)」

「きっと大変だろうとは思いましたが、成長して笑顔を浮かべる姿が想像できた。小宮は猪突猛進タイプで突破しながら道を切り開いてくれるし、突破するときにできた穴を埋めるサポート役の協力者も活動とともに増えていった。まちづくりに貢献したいと支えてくれた住民の皆さんにも感謝しています。(伊東さん)」

足立区がSDGs未来都市の認定を得るには、他都市との差別化を図るためにも区独自の提案が必要でした。区独自の視点に気が付いたのは、内閣府へ提案書を出すたった2カ月前。しかしその気づきは小宮さんの心に爆発的なパワーを生み出す火を付けました。「足立区らしさを考えたときに、子どもが笑顔になる街の姿が浮かんだんです。足立区が抱えている課題に焦点を絞り、これを解決してこそ足立区らしさが出るんじゃないか――第一に貧困の解消、第二に街のイメージアップ。気付いたらあとは実行するだけでした。(小宮さん)」

内閣府の認定が出る前にSDGs未来都市推進担当課を立ち上げ、「退路を断つ…というワケではありませんが、そのくらいの本気度を国へ伝えたかった」と語る伊東課長。無事2020年にSDGs未来都市の認定を受け、なんとモデル事業のW認定を取得。さあ、これから具体的に進めていこうというフェーズになって、同時期に綾瀬地域進行していた再開発プロジェクトで集めた住民のアンケート結果が活きました。そこには、40代の若い世代から「まちづくりへの参加意欲はあるが既存の団体には参加しにくい」「既存の公共施設は使いにくい」といった声が多数。「もったいない!」けれど「本当に?」と疑った小宮さん。「何事も自分で確認したいタイプなんです。だから実際に声を聞きに行ってみた。そうしたら本当にまちづくりへの想いを抱く住民の方たちとたくさん出会えたんです。(小宮さん)」

なかでも、あるイベント準備を手伝ってくれたシングルマザーの方が『行政には助けてもらってばかりだった私でも役に立てることがあるんですね。それがうれしい。』と伝えてくれたことが印象的だったそう。区の財政にも限度がある。すべてをお金で解決することはできないけれど、まちづくりに参加できる喜びが人々の意欲を高め、元気にしてくれるパワーがあり、この笑顔が広がれば大きな力になる。「まずは個人レベルのやりたいことを叶える、ワクワクするうれしい気持ちを応援できる場が増えれば、そしてそんな大人たちの背中を見て育つ子どもたちは将来に希望を持てるのではないか……私たち区が少しずつロードマップを引いていくことができれば、必ず結果はついてくると信じています。(小宮さん)」

「高架下No Border LAB」事業で住民の夢や希望を育みたい
子どもたちの笑顔が増えるまちづくりを目指し、まずは住民の「やってみたい」を叶える場づくりの一歩として、プロジェクト「高架下 No Border LAB」がスタートしました。区としても初の試みで、まずは各所への説明とスケジュール調整に奔走する日々だったと語る伊東課長と小宮さん。およそ2年の歳月を経て、ようやく2023年10月末にオープン。長年シャッター街だった一角に新施設「あやセンターぐるぐる」の明かりが灯り、新しい人の流れが生まれています。
「『あやセンターぐるぐる』はあえて壁に未完成の部分を残し、余白を住民の方と一緒に築いていけるようにしています。80%は私たち区が建設しましたが、残りの20%は住民の方とともに創り上げていきたい。失敗してもスクラップ&ビルドで立て直し、より皆さんから愛される愛着の持っていただける場にしていけたらうれしく思います。(伊東さん)」

対面型ではなく、伴走型。住民とともに未来を目指すまちづくりを
「今までいくつもの自治体のコミュニティづくりの企画へ参画してきましたが、足立区の方は主体性がある人が多いですね。伊東課長も小宮さんも、ただ企画提案を待つだけではなく、一緒に考えて創り上げてくれる方。同じゴールや目標に向かって並走してくれる感覚が、足立区ならではのいい環境を構築し続けているのかな、と実感しています。(久保薗さん)」
手探り状態でスタートした「あやセンターぐるぐる」は、はじまり商店街として各地の自治体のコミュニティの企画をサポートする久保薗さんはじめ、コミュニティビルダーの協力を得て、街の人からのやってみたい企画をお手伝いする体制も整えました。まちの皆さんの「やってみたい」を叶えるサポートをするため、「あやセンターぐるぐる」は日々相談を受け付けています。

(※1)子どもの健康・生活実態調査(足立区)より
https://www.city.adachi.tokyo.jp/kokoro/fukushi-kenko/kenko/kodomo-kenko-chosa.html
 

関連するSDGsゴール

目標1
目標11
目標17

Words for the Next!

未来の足立を見据える「足立区役所×はじまり商店街」の皆さんの語録

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ライター

足立区で皆さんが訪れる癒しスポットやお店はありますか?

伊東さん

北綾瀬においしいラーメン屋さんがあって、そこは定期的に行きたくなりますね。

小宮さん

モシモシコーヒーさんかなあ。コーヒーも店主も魅力的なので癒しスポットです。

久保薗さん

僕は東京アクリル(※2)が好きで、主催されているイベントへもよく行きます。お店のスタッフがおもしろい人が揃っていて、人の魅力もありますね。

(※2)東京アクリル(有限会社三幸のオリジナルアクリルブランド)
https://www.tokyoacryl.miyukiacryl.tokyo/
 

ライター

皆さんが足立区で「やってみたい」NEXTアクションを教えてください。

伊東さん

まずはシャッター街のシャッターを開き、明るいまちづくりから。街のみなさんがそれぞれにハマる仕事を見つけられるように、サポートできる場を増やしていきたいですね。

小宮さん

行政と区民の垣根をなくし、フラットな関係を構築していきたいです。この施設や私たちがいい起爆装置になって、子どもたちはもちろん、住民の皆さんがワクワクするようなまちづくりを一緒に作り上げていきたいです。

久保薗さん

これからも区、住民、そしてコミュニティビルダーの僕らで力を合わせて、トライ&エラーで失敗を恐れず成功の糧にしながら、住民の方と一緒にワクワクできるコミュニティづくりを叶えていきたいですね。